ecoslymeです。
マーケティング戦略を考えるときに、3C分析という言葉を聞いた人は多いと思います。
3つの単語の頭文字(Company、Customer、Competitor)をとってきており、マーケティング戦略を行う際の基本的なフレームワークです。
その中でCompany(自社)とありますが、その自社の分析を考えていくときにはどのように考えていけば良いでしょうか。
その自社分析を網羅的にできるのがVRIO分析です。
3C分析とセットで考えるべきフレームワークとなります。
そこでこの記事では、VRIO分析についてご紹介します。
マーケティング(市場)戦略の基礎となる重要なフレームワークですので、必ず覚えましょう。
市場における競合優位性の把握に「VRIO分析」
それでは早速、VRIO分析についてご紹介していきます。
VRIO分析の意味
VRIO分析の意味について紹介していきます。
VRIO分析は、4つの英単語の頭文字から取ってきています。
VRIO分析は自社の経営資源(リソース:人・モノ・カネ・情報・組織)について分析し、市場での競争優位性を把握するために利用します。
・Value :経済価値
・Rarity :希少性
・Inimitability :模倣困難性
・Organization :組織
各々の項目について説明していきます。
Value(経済価値)
まずは、Valueから説明します。
市場における自社の経営資源が「経済的な価値がある」と顧客に認識されているかを分析します。
もちろん経済的価値もそうですが、社会的価値も含まれます。
CSRのような、環境保全のような企業は社会的価値が高いですよね。
顧客や社会に対してどれほど多くの価値を提供しているかという視点で考えていく必要があります。
また、自社に外部環境における機会があった際にうまく生かすことが出来る経営資源があるか、
逆に外部環境における脅威に晒されたときにうまく無力化や軽減ができる経営資源があるか、という視点も必要となります。
Rarity(希少性)
次にRarityを説明します。
他社が持っていないような希少性の高い経営資源を分析していきます。
それは商品であったり、設備、技術者など多岐に渡りますが、独自性の高いものは希少性が高い可能性があります。
希少性があれば、顧客にとって購買意欲を刺激することができますし、新規参入社に対してハードルを高くすることができます。
競争優位性が高くなりますね。
Inimitability(模倣困難性)
次にInimitabilityを説明します。
imitability(模倣性)に、”In”という否定の接頭語を付けていますので、模倣困難性(真似をすることが難しい)という意味になります。
他社が模倣出来ない経営資源を分析していきます。
他社が真似できない希少な経営資源があれば、競争の優位性を長期間維持することが可能になります。
逆に、他社が真似しやすい経営資源であれば、競合に追いつかれるのは時間の問題となります。
なお、模倣困難な経営資源としては以下の4点が代表的です。
歴史性(経路依存性、時間圧縮の不経済)
企業が長い年月をかけて生み出した経営資源を手に入れるには、通常多くのコストがかかってしまいます。
歴史的な偶然や出来事、またその蓄積によってもたらされたリソースが存在すれば、それは競合が真似できない優位性となります。
例えば、NTTやJRなどは元は国策で大きくなった企業ですが、この背景を真似することは非常に困難でしょう。
販売の経路や認知度、信頼性は真似しようとしても出来るものではありません。
他にも、私の出身の東京大学も同じように長年培われてきた歴史がありますので、他の大学が真似しようとしても過去を変えることはできないので、真似できません。
競合がこれらを真似しようとしたとしても非常に時間を要してしまいます。
これを時間圧縮の不経済と言います。
また、ネットが普及していない時代にネットビジネスを始めた場合、ネットが普及し始めれば非常に成長するでしょう。
ですが、このネットが既に普及してしまっているこの時代に競合と差のないネットビジネスを始めてもジリ貧でしょう。
このように事象が発生する順番が重要なこともあります。
○ ネットビジネス開始 → ネット普及
× ネット普及 → ネットビジネス開始
これを経路依存性と言います。
因果関係の不明性
好調な企業が所有している設備を同じように導入して、本当にうまくいくのでしょうか。
また、同じような人事制度を取り入れてうまくいくでしょうか。
優秀な人材がうまく集まれば良いですが、同じことをして同じ結果が生じるとは限りません。
人事制度を新しくしたことが優秀な人材の確保につながったという因果関係は立証できません。
つまり、「これを真似すればこの結果になる」という因果関係が不明確であれば、競合他社は真似することができません。
その時代のトレンドがあったり、その時代に生きてきた人たちの価値観があったりするので、何が何に影響を与えているか因果関係を把握することは難しいです。
社会・政治などによる複雑性
シンプルなものは模倣しやすく、複雑なものほど模倣することは難しいということは分かると思います。
企業が構築してきた文化や、顧客、サプライヤーとの関係性などは社会的に複雑です。
政治のトレンド(例えば輸出規制)によって特定の商品が売れたり売れなかったりすることもあれば、これを真似をすることは難しいでしょう。
特許等による制約
一番イメージしやすいのが特許でしょう。
特許による経営資源(知的財産権)の保護があれば、他社は真似したくても真似できません。
同じことをしようとすると、特許使用料が必要となるためコストで勝てず、結局その分野に参入しません。
しかし、特許切れ隣ってしまったら模倣が簡単になりますので、常に新しい特許を取得していかなければリスクを回避していくことはできないでしょう。
また、中国に関しては真似の文化があるので、平気で特許を侵害してきます。
この辺りのリスクも考慮した方が良いでしょう。
特許があるから絶対安心とはなりませんのでご注意を。
Organization(組織)
最後にOrganizationを説明します。
企業がいくら優秀な経営資源を有していたとしても、それを有効に活用出来る組織でなければ意味がありません。
トレンドの移り変わりが激しい業界で意思決定が遅い組織体系(社内稟議が2ヶ月かかるなど)であれば、流行が終わった頃にその分野へ力を入れ始めてトレンドが既に変わっているという状況があり得ます。
また、新しいことを取り入れるのを好まない企業文化であったり、若手の意見は全て無視するような組織であれば、今後の時代に対応できないでしょう。
VRIO分析の注意点
VRIO分析を行う上での注意点をご紹介します。
ご紹介した4項目の順番で、その優位性の有無をチェックしていく必要があります。
以下のように、順番にYES、NOで考えていきます。
「経済価値」が無いとなれば”競争劣位”となります。
「経済価値」があり、「希少性」があるけれども「模倣困難性」が無ければ”一時的な競争優位”となります。
これらの競争優位に関して戦略に活用していくことができます。
逆に、NOとなってしまった分野に関しては、修復していくか回避する必要があります。
最後に
いかがでしたか?
自社の強みに関してフレームワークに沿って分析してみると、なぜ競合他社に勝てていたのかその根拠を知ることができます。
逆に、一時的に競争優位という結果となってしまったのであれば、今はただ単に運が良いだけととらえて、急いで対策を考える必要があります。
先代の努力のおかげで今はただ運良く生き延びているとなれば何も自分は成長できません。
自分の成長のためにも、新しい考え方を取り入れていきましょう。
他の主要なフレームワークについては、以下の記事にまとめていますのでご覧下さい。
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