ecoslymeです。
全ての病気に効く薬は無い、ということは皆さんご存知かと思います。
病気の種類によって適切に効く薬もあれば、効果の無い薬もあります。
だから医者がいる訳です。
マーケティングも同じで、全ての顧客が欲しいと思うような商品は存在しません。
だから企画者、マッケッターがいる訳です。
特定の顧客に絞って、顧客が欲しいと思う商品を作っていくからこそ競合と差別化することができます。
やみくもに商品を作っても期待する利益は得られないとなれば、どのようにして顧客層を絞って行けば良いでしょうか?
そんな時に活躍するのが、STP分析です。
そこでこの記事では、STP分析についてご紹介します。
マーケティング(市場)戦略の基礎となる重要なフレームワークですので、必ず覚えましょう。
顧客志向のマーケティングに「STP分析」
それでは早速、STP分析についてご紹介していきます。
STP分析の意味
STP分析の意味について紹介していきます。
STP分析は、3つの英単語の頭文字から取ってきています。
STP分析は、同質な需要があり自社にとって魅力的な顧客グループを特定するために重要な分析です。
・Segmentation :市場の細分化
・Targeting :ターゲットの設定
・Positioning :立ち位置の明確化
各々の項目について説明していきます。
Segmentation(市場の細分化)
まずは、Segmentationから説明します。
似たようなニーズを持つ顧客層に分けて考えていきます。
自社で新たらしい商品やサービスを展開する時に考えて欲しいのが、”利用している顧客層をイメージする”ことです。
ターゲットが明確でなければ、目標も考えにくいですし誰が便利になるのか、どんな課題を解決できるのかを想像できず、曖昧な商品担ってしまいます。
例えば「新しい化粧品」を考えた時に、まず男性向けにするか女性向けにするかを考えることでしょう。
これは「性別」でセグメンテーションを考えていることになります。
高級な女性用化粧品を販売するとなると、おそらく若者ではなかなか手が届きませんよね。
ここで「年齢層」のセグメンテーションを考えることになります。
市場の細分化のイメージはこのような感じです。
自社が販売したい商品やサービスの顧客層を明確にイメージしていくことで、どのような商品やサービスを提供すれば良いのかを考えていくことが具体的になっていきます。
では、どのような切り口のセグメンテーションがあるのでしょうか。
そこでここでは、2つの市場と各々の代表的な4つの指標をご紹介します。
市場は消費財市場と生産材市場に分けることができます。
- デモグラフィック(人口統計的変数) …年齢・性別・職業・所得・家族構成・学歴など。人の基本情報が基となる
ジオグラフィック(地理的変数) …国・地域・気候・文化・生活習慣・発展度・宗教など。地理的要因に絡む情報が基となる
サイコグラフィック(心理的変数) …価値観・性格・趣味、趣向・ライフスタイル・購買動機など。個人の心理が基となる
ビヘイビアル(行動変数) …購買状況・購買パターン・使用頻度・買い手の行動(知識、態度、反応)など。個人の行動情報が基となる
生産財市場は、顧客が法人や公官庁などの団体となります。
消費財市場の変数に加えて、更に複数の変数で緻密に分けていく必要があります。
- 購買者の特性 …業種、規模、決裁権の有無など
- オペレーティング変数 …使用頻度、顧客の能力、利用状況など
- 購買アプローチ変数 …購買方針、購買基準、購買意欲など
- 購買に絡む状況要因変数 …緊急性、受注量など
Targeting(ターゲットの設定)
次にTargetingを説明します。
上記で細分化した市場の中から狙うべきターゲット層を絞る作業を行います。
セグメンテーションは市場を”分ける”ことをしますが、ターゲティングはその分けられた市場から狙うべき市場を”絞る“作業になります。
市場は多様なニーズを持った顧客の集まりですので、全ての顧客に対応する訳ではなく、限られた資源の中で最大限の収益が上がるように投資効率を考えて市場を選ぶ必要があります。
自社製品のコンセプトやブランドのイメージ、価格帯を考慮して消費者のグループを選択していきます。
では、効率良くターゲティングを行う3つのパターンをご紹介します。
- 無差別型マーケティング …セグメント化された市場同士の違いを無視して、共通の商品・サービスを全ての市場に供給する手法。経営資源が潤沢な大企業に多い手法
- 差別型マーケティング …複数のセグメント化された市場に、各々のニーズにあった商品・サービスを供給する手法。
複数の料金体系設定、機能を変えた類似商品の販売など。多くの企業でみられる手法 - 集中型マーケティング …1つもしくはごく少数の市場に集中して経営資源を投入する手法。強力なブランド製品、高級メーカー、ニッチ商材の販売など。コアな客層を持つマニアックな企業でみられる手法
Positioning(立ち位置の明確化)
最後にPositioningを説明します。
ターゲットが決まったら次に行うのは、自社の立ち位置を決定する作業です。
ターゲット市場における競合の商品・サービスを確認し、自社の立ち位置を考えていきます。
基本的に競合がいると思うので、複数の指標(1〜4つ)を軸にして競合と比較していきます。
指標が多すぎると複雑化してしまうので、1〜4つくらいの指標が良いでしょう。
もちろん、顧客目線で考えていきましょう。
値段、品質、性能、販売チャネル、店舗数、接待力など、顧客からみて魅力的と考えられる指標を取り出してきます。
先入観は捨てましょう。
例えば、日本で薄利多売のビジネスをしているけれども、海外では高利小売でも良いのかもしれません。
ホテルでも日本ではビジネスホテルだけれども、海外では高級ホテルを経営している会社もあります。
現時点でノウハウが無くても、今後の経営方針やノウハウ蓄積のために新しい世界に挑戦することも成長に繋がります。
流れとしては以下になります。
- 商品・サービスのカテゴリを設定
- 評価軸の作成
- ポジショニングマップの作成
- 差別化できる分野の発見
STP分析の注意点
STP分析を行う上での注意点をご紹介します。
上記で説明した大まかな流れは以下のようになります。
- Segmentation(セグメンテーション)で市場の全体像を把握する
- Targeting(ターゲティング)でその中から狙うべき市場を決定する
- Positioning(ポジショニング)で競合他社との位置関係を決定する
ここで何度も申し上げますが、「顧客目線」を常に意識することを忘れないで下さい。
ニーズがなさそうな分野にいっても儲かりません。
また、理論的には良い市場があったけれども現実的かどうかなど、以下の点にもご注意下さい。
・市場へのアプローチが可能か(競合の大手が強すぎる、新規参入NGなどではないか)
・市場の大きさ、成長率を考える(廃れゆく市場ではないか)
最後に
いかがでしたでしょうか?
下手な鉄砲数打ちゃ当たる作戦は、最初はまぐれでヒットしてもそれが何十年とは続きません。
偶然ではなく必然となるような理論を考えられるように日々頭を働かせてみましょう。
成功率が上がってくれば、より会社の事業も安定してくることでしょう。
他の主要なフレームワークについては、以下の記事にまとめていますのでご覧下さい。
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