ecoslymeです。
大企業でシェアードサービスセンター(SSC)が発足し始めてきているこのご時世、業務改革/業務改善に取り掛かっている企業は多いのではないでしょうか。
何となく頑張って自分の業務を改善したとしていても、例えばシステムの大幅改修が行われてしまって、気付くと自分が業務を改善した意味が無くなってしまった、となった経験はありませんか?
業務改革/業務改善の順番が見えていないことが要因の一つに上がるのかと思います。
そこでこの記事では、ECRS(イクルス)についてご紹介します。
業務改革/業務改善を行う際に、その順番と視点について活用できるフレームワークを学ぶことができます。
BPR(業務改革)の基礎となる重要なフレームワークですので、ぜひ覚えましょう。
業務改革・業務改善に「ECRS(イクルス)」
それでは早速、ECRS(イクルス)についてご紹介していきます。
ECRSの意味
ECRS(イクルス)の意味について紹介していきます。
ECRSは、元々は製造現場における的確な課題抽出と効果的な業務改善の手法として考えられたものですが、営業やサービス業などさまざまな業務の改善に広く用いられるようになりました。
業務改善の効果が大きく、過剰な改善や過小な改善も避けることができ、不要なトラブルも最小になるといった、業務効率化の効果を最大限にすることができるフレームワークです。
ECRSは以下の英単語の頭文字になります。
・Eliminate :排除
・Combine :統合と分離
・Rearrange :入替えと代替
・Simplify :簡素化
ECRSの概要は下記のようになります。
各々の項目について下で説明していきます。
ECRS(イクルス)
それでは、ECRSについて説明します。
Eliminate(排除)
まずは、Eliminateから説明します。
Eliminateとは、業務の成果物や作業を無くすことを意味しており、一番最初に考える視点になります。
成果物に関して、従来からやっているからというだけの理由で、本当は不要なのに続けている業務がある可能性があります。
実は不要と分かれば後続作業が全てなくなるため、後続作業の改善や効率化を行っている場合はその作業自体が無駄になります。
例)月報の作成廃止。社内での年賀状・お歳暮等の廃止。管理ができる定型業務の外注化。朝会を無くしChatで必要なことを報告、情報共有する。
Combine(結合と分離)
次にCombineを説明します。
上記のEliminateが終わった後に考える視点になります。
類似の業務を結合し集中化することで、作業効率が上がったり必要なシステム利用のライセンス数を減らしたりできる。
また、作業者が多岐にわたるスキルを所有する必要がなくなり、狭い範囲のスキルを高めていくことができ、より作業効率が上がる。
異なる属性を有する業務を分離することで、各作業で行われるスキルの類似性が上がりシナジー効果が高まる。
また、類似する複数スキルを所持する人の方が人材として見つけやすく、BCP対応としても人材欠如による作業の混乱を避けやすくなる。
例)各部に散らばっている固定資産管理の業務をまとめる。グループ会社の管理業務のうち決算関係の業務を経理部にまとめる。グループ会社の経費精算の業務を1つの部署にまとめる。
Rearrange(入替えと代替)
次にRearrangeを説明します。
Eliminate(排除)とCombine(結合と分離)が終わった後に考えるステップになります。
業務としては、EliminateやCombineを考えるより小さい範囲になりますが、その小規模業務の再設計になります。
作業順序、作業場所、担当作業者の入れ替えや変更を行うことで、人の移動時間短縮であったり、設備の有効利用であったり、人の待ち時間の削減を効率化していくことができます。
例)
時間のかかるデータ抽出を別PCで先に行うことで、一連の作業が終わった後にスムーズにデータ成型を行えるようにする。
作業場所を個人PCではなく共有フォルダ上で行うことで、情報のタイムリーな変更を共有できるようにし、納期の短い業務をスムーズにする。
紙で行っていた業務をPDF化(電子化)することで、紙の配布ルートを変更し同時配信する。
Simplify(簡素化)
最後にSimplifyを説明します。
動作/要素/作業/工程単位でのあるべき姿を設計することで、業務を標準化することができます。
業務が標準化されれば、マニュアル作成も容易にできて誰でも対応できる業務となり業務属人化が解消されますし、単純業務の自動化やRPA化、エクセルマクロ化やシステム化によって時間短縮も可能になります。
例)月次で配信するメールのテンプレを作成する。ACCESSで日次や月次のデータ抽出を簡略化する。RPAでWebから最新データを抽出してくる。
まとめ
上でECRSについて各々説明させて頂きました。
課員の人たちが主に改善として行っている部分は、Simplify(簡素化)の部分が多いのではないでしょうか。
課員レベルでは、正直この辺りが権限的に改善できる限界なレベルなのかもしれません。
「自分の業務を改善していたけど、数ヶ月後にシステムが変わるから今の改善が意味ないのでは?」
「この業務ってそもそもやる必要あるの?誰も作った資料見てくれてないじゃん。」
「〇〇課の人が作ってる資料と自分の作ってる資料ってほぼ同じ資料だよね。。どっちかがちょっと手間を増やしてこっちの資料も作ればいいじゃん」
こんな不満も出てきているのではないでしょうか?
だからECRSの順番で考えるのが重要なのです。
権限的に、ECRを実行に移せるのはマネジメント(管理者)になります。
このマネジメント層が無能であれば、組織も一向に業務改革なんか起こるわけがありません。
しかし、業務改革案や業務改善案は課員レベルの人から上げることも可能です。
優秀な組織であればマネジメントから業務改革の指令が降りてくるだけではなく、課員が改革案を上げてマネジメントを動かすことも柔軟にできるはずです。
ですが課員は自分の業務で手一杯の場合も多いですし、権限的に知ることのできない上層部の動きもあるので、他部署の動きや隣の課の動きまで把握するのが難しいです。
やはりマネジメントが課員に情報共有を適時行い、改革や改善を課員任せにしない組織が重要なポイントなのかなと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか?
上から業務改革(BPR:Business Process Reengineering)をすると言われても、何から手をつければ良いのか、何をすれば良いか分からないものです。
このフレームワークを頭の隅に置いておけば、自分がしようとしている改善が意味あることなのか、マネジメントに相談してマネジメントを動かさなければならない案件なのかも少し見えてくるのではないでしょうか。
BPRについて興味のある方は以下の記事もご覧ください。
他の主要なフレームワークについては、以下の記事にまとめていますのでご覧下さい。
ecoslymeです。 皆さんは仕事で行き詰ってどうしたら良いか分からない、といった状況に陥ったことはありませんか?おそらくほとんどの人があるのではないでしょうか。 できることは全[…]