ecoslymeです。
BPR(業務改革)という言葉を最近聞くようになったけど、具体的にどんな事例があるの?
BPRを実施した企業の具体例をご紹介します。
BPRの取組方法(手法)は様々であり、業態によって効果の度合いも違いますが、参考になることは間違いないでしょう。
この記事では、BPRで組織改革・シェアードサービスを利用した企業について紹介します。
組織改革・シェアードサービス 実施企業Aの例
BPRで組織改革・シェアードサービスを実施した企業の例について紹介します。
企業Aの業態は製造業です。
- BPR(業務改革)の成果
シェアードサービス化により間接業務を効率化することが出来、コストを約50%削減できた。
グループ会社内でも業務の品質水準にはバラツキがあったが、シェアードサービス化によって品質水準が統一化され、グループ全体の間接業務の効率化が出来た。
また、業務アウトソース先もバラバラだったが、統一されていくことにより効率化が実現できた。
BPR実施の背景
BPR実施に至った背景は以下の通りです。
- 市場環境の変化によって、メインの事業の売上が激減
否が応でも事業構造を変化させる必要があると社内で危機感を募らせた
- 販管費(販売費・一般管理費)の比率が競合他社よりも高いことが分かった
シェアードサービスとは何か?
まず、シェアードサービスとは何かについて説明します。
シェアードサービスとは、間接部門の業務(サービス)を共有(シェア)することにより、経営のスリム化を図る経営手法です。
親会社だけでなく、子会社や企業内の事業部にも存在する財務部、経理部、人事部、総務部、法務部、ロジスティクス部などコーボレート機能を1ヵ所に集約化・標準化することで業務効率化を行い、品質向上やコスト削減を行うことが可能になります。
企業の管理部門を1ヵ所に集めて、シェアードサービスセンター(SSC:Shared Service Center)の企業を設立するケースもあります。
取組内容について
A社の具体的な取組内容について説明します。
・組織力の強化 ⇨ 社員の能力向上(マネージャークラス)
・業務効率化 ⇨ シェアードサービスセンター(SSC)の設立、業務のアウトソース
SSC企業は元々この企業Aのグループ会社でしたが、企業Aの間接業務をSSC会社へ集約していったことになります。
もともとSSC企業では外販をしていましたが、その外販事業は別の子会社へ事業を移管させています。
SSC企業ではA社のグループ会社の間接業務(主に総務業務、人事業務)遂行がミッションになります。
間接材の購買もこのSSC企業へ移管しています。
同時に改革を進める過程で、重要なポジションを担うマネージャークラスを対象に研修を実施して人材強化も行ました。
研修プログラムで自分が行うべきことを明確化させていきました。
また、グループ企業を同じ建物内に移動させることでコミュニケーション、人材交流が盛んになりました。
BPR実施の問題点と課題
BPR実施を行うにあたり、簡単には実施はできません。必ずぶち当たる壁や問題点、課題が生じてきます。
今回のケースでの問題点と課題について整理します。
アウトソース企業の決定時に、それまでの取引関係が壊れてしまうケースがあります。
シェアードサービス化によってトータルのコストが約50%削減できましたが、地場の取引先への対応は非常に難しい問題となりました。
今まで仲良く飲み会にも行っていた取引先に取引中止を伝えるとなると、取引先もすぐには納得できませんし、それを伝えるA社社員も精神的に辛いものがあります。
品質の統一も難しく、これまで業務が過剰品質であった場合は業務の品質を下げる必要があり、品質水準が低下します。
この組織改革・業務効率化は一度きりというわけではなく、継続していくことが重要な課題となります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
業界改革という言葉だけを見るなら簡単にできるように思いますが、皆が簡単に改革の方針に従ってくれるとは限りません。
まずはトップが従業員に対してメッセージを伝え、従業員のマインドを変えていくことも重要です。
理想像が見えていても、なぜそれをやらなければならないのかと思う人は8割の社員が思っています。
今の生活から変化したくないと考える人は想像以上に多いです。
そのため、古い体質が残っている企業に関しては、まずは従業員のマインドセットを行い、業務改革(BPR)に対して多くの味方を付けてから業務改革を行うことの方が近道なのかも知れませんね。